2018年1月19日金曜日

Genetics 遺伝学

僕はなぜこの選択肢を選んだのだろう?

たまに考える。答えは出ない。きっと遺伝子が決めたんだ。

ただ2017年という年は、もう最初から「EPを作って、出す」という決まった目標だけはあった。Shadow Riddimがあった。SwimfulやGazからの評判も上々だった。
でも僕はこれ(この曲と、この方向性のサウンド)でいいのか?という迷いがあった。
SVBKVLTというレーベルから僕にストレートなグライムやガラージサウンドは求められていない。僕もサブカルトからそういった類の曲を出す気はなかった。でも、僕の中でShadow Riddimはかなりストレートなグライムだった(他の人がどう思うかは別として)

散歩をした。音楽を聴かなくなったりもした。
いわゆる作曲スランプなのかただの逃避なのかはわからなかった。

タイミング悪くか良くかはわからないがCMの仕事を立て続けにしたりもした。
でもこれは良かったかもしれない。
僕の曲はかなり内向的なサウンドだと評された。しかし他人と音楽で仕事をすることは良くも悪くも刺激を受ける。結果一つは難航し、一つは超短期で初めてとは思えない好感触を得られた。金も貰えた。自信も少し持つことが出来た。

試作品のことを"Sketch"と保存する人と、"Untitled", "Demo"などとファイル保存する人様々だと思うが、僕は「スケッチ」という表現が好きだ。
曲は僕にとっては風景なのだ。写真とは違って、作者のエゴが多分に見た風景に加筆される感じがよい。頭の中ではCGを加えようが勝手にエメラルドグリーンに塗りつぶすことも自由だ。去年の僕のキャンパスの色は限りなく白に近いライトグレーだ。勝手に決めた。

グレーであること、意味がありそうで本当はあまり無い。そういうことにしておいた方が世の中楽だろう。

そう、EPに取り掛かる前にFLstudioを改めて12にアップグレードした。非常にスケッチが描きやすくなった気がする。11はあまりピンと来ていなかったが12は当たりだった。
一番面白かったのは簡易VJ的映像編集ツールZgameeditor visualiserが使えたこと。
1分程度のスケッチを作成し、それに簡易CG映像をつけてインスタ用動画を2個か3個作った。動画で生まれたイメージを1曲に仕上げていく。そんなことを4回くらい繰り返してGeneticsは完成した。遺伝子というワードが出てきたのはもちろんGenetic Danceの時だった。

Genetic Danceは行進曲だ。中盤2分のところはジャガイモの妖精のようなキャラクターがラッパを吹いてまだまだ宴は終わらない事をアピールしている。(そういう絵が実際に作っている時に浮かんでいた) 終わりの無い行進と更新の曲。

Footstep FlyingはGenetic Danceの反動、暗い曲作らなきゃいけない使命感が出てきた。
現行の日本のクラブのフロアには馴染みは悪そうだけど絶対にフロアに必要な音。強制的に踊るか低音に揺らされて下さい。という怨念のような曲。この頃ちょうど「シドニアの騎士」を一気に見ていたので、無重力間というか、浮遊感を出すのは比較的容易(安易)だった。
また、全体的に癒しのオーラを出しているのは本人が一番癒しを求めているから。
ストレス無く、曲全体通して浮遊感はキープしつつもベースを主張させるチルアウト曲を作ろう。
曲として前に主張しないバランス? というかベース出てる時だけ↓への力が発生して、ベース出てない時は限りなく「静(あるいは無重力)」になる。その間(や緩急の動き)は存在しない。でもダンスミュージック、そんな作り方をしてみた。

Footstep作って、イントロが欲しい。アルバムに近い作り方をしたくなった。
Hyggsはヘイグス、宇宙空間にある架空のエネルギー。
FL純正のSytrus一発でどこまで重厚な音が出るか試した。
特に残響の低音には拘ってしまい、マスタリングもこの曲だけ自分のミックスを採用することに。
ここで英語でマスタリングについて要望を伝えるノウハウがかなり磨かれた気がする。
また初めて4拍子を崩したブレイクは手打ち3拍子、テンポが別モノになってるので、DJでつなぐ時は注意されたし。

余談だが、下で鳴らしてるサブもsytrusで再現を試みたシドニア加速時に出る噴射口の音を少し加工して使用(この音を下と上でランダムに鍵盤叩くと大分原音に近い音が出た(記憶))。

と、ここまで書いて、僕が全曲紹介する意味があるのかないのか良くわからなくなってきた。
受け取る人の感性、想像力次第でいいではないか。

全てはこちらに書かれています。(ありがたい)
by Fuux
https://note.mu/myq/n/nfdb56eeb651d
by Shintaro Yonezawa
http://www.ele-king.net/review/album/006075/

それと、最近思うのは不透明だからかっこいい、よくわからないから惹かれる、そんな女学生の恋愛のような気持ちで音楽は聴き続けて行きたいし、いい音楽もいい遊びもその感覚は大切に紹介していけたらと思う。

Genetics - Prettybwoy [SBKT018]
https://svbkvlt.bandcamp.com/album/genetics